リーガレッジ導入事例

法務部門による生産性向上の取り組み 条文テンプレートとwordアドインでノウハウの共有

東洋炭素株式会社 様

東洋炭素株式会社
昭和22年設立。主力の等方性黒鉛などの炭素製品、カーボン関連の幅広い製品を取り揃えているカーボンメーカー。エレクトロニクス、環境・エネルギー、冶金など多様な産業分野に提供。2021年5月よりリーガレッジを利用中。

東洋炭素株式会社

事業内容高機能カーボン製品の製造、
販売および関連する加工事業
従業員828人(2020年12月期 時点)
設立昭和22年7月31日

インタビューにお答え頂いた方:
東洋炭素株式会社
法務部
児島 和哉 様・中山 映里 様

聞き手:
株式会社コスモルート
ビジネスソリューション事業部 リーガレッジ担当
瀬戸山(以下S)・秋元(以下A)

1.身近な家電製品から半導体まで。
  東洋炭素の高機能カーボンを法務面から支えるには

S:まずはじめに御社のプロフィールをお聞かせください。 炭素素材をBtoBで提供されている会社ということでよろしいでしょうか。

中山様:そうですね。

S:歴史の長い会社だと感じましたが、具体的に事業内容をお聞かせいただけますか。

中山様:高機能カーボンの製造販売および加工事業が主軸になっています。

児島様: 当社の主力製品である等方性黒鉛は、人造黒鉛とも呼ばれ、陶器のような製法で製造された炭素を主成分とする固形ブロックになります。陶器の主な原料は粘土ですが、等方性黒鉛は、コークスなどが原料になります。これらを練り上げ、高温で焼き固めて円筒や角柱のブロック状の素材を作ります。それを工作機械などを使ってお客様の要望に応じて様々な形状に加工し、個別の製品に仕上げていきます。

S:セラミックのようなものでしょうか。

児島様:材質が炭素で出来ておりますので、カーボンとかグラファイトと呼ばれています。

S:ありがとうございます。それを最先端の物に使われるわけですね。

中山様:家電や、半導体、原子力の先端用途まで本当に幅広いところで使われています。

S:素材とか部品を提供されてる会社さんは、社会的に製品として表に出ないところが結構多いのかなと思いますが、どんな会社様が使われてるとかありますか? どんな最終製品になるんでしょうか?もし知られているところとかあればお伺いできれば。

児島様:当社製品の用途のすそのは結構広いです。掃除機や洗濯機などの家電製品や自動車に用いられるモーターの部品や、調理器具、電車のパンタグラフ、半導体製造装置の部品など様々な製品に組み込まれています。

東洋炭素株式会社 本社エントランス

2.年間数百通ある契約書の原本管理を効率化したい。
  リーガルテックへの期待

S:リーガレッジをご利用いただく前に法務業務や契約書にまつわる課題がおありだったかと思いますが、それはどんなことでしたでしょうか?

中山様:そうですね。以前から契約書の原本管理業務は見直す必要があると感じていましたので、契約書管理システムのセミナーなどに参加して情報収集を行っていました。そういった状況の中で今話題となっているリーガルテックを活用して、本格的に法務業務の生産性向上に取り組みを進める中で、法務業務の中でも定型業務要素が強い原本管理業務を効率化することで生産性向上が見込めると考え、見直すことになりました。

S:原本管理業務の効率化ということですが、今までは契約書の原本は紙で保管されていましたか?

中山様:そうですね。締結部門から押印済みの原本が届くので、その契約書原本を最終キャビネットに保管していました。エクセルで管理台帳を作成して、その台帳に締結先や締結日、有効期間等の契約書情報を一通り入力し、締結済みの契約書の情報を管理していました。

S:比較的定型的にできそうな業務だったわけですね。契約書の管理台帳入力作業はどのくらい発生するのでしょうか?

中山様:年間でだいたい数百社分の原本が届きますので、その分の入力作業が必要ですね。

S:どんな種類の契約書がありますか?

中山様:一番多いのは、機密保持契約です。あとは、取引基本契約書、業務委託契約書もありますし、あとは共同研究契約書などがあります。

3.リーガレッジは実務担当者の目線でつくられている。
  ナレッジ共有と条文テンプレート機能がいい

S:契約書の内容は、都度修正や見直しが入るものなのでしょうか。

中山様:そのまま定型通りに結べるものもあれば、締結先に修正要望を出して複数回、契約書案のやり取りをして締結に至るものもあります。

S:そうなんですね。共同研究契約書というのは、もしかしたらそういうやり取りがものすごく発生するのではないかな?と今聞いてて思ったのですが。

中山様:そうですね。開発案件のものは何回も往復しながら作っていくことが比較的多いかと思います。

S:締結先とやり取りをしなければならない契約書というのは、締結部門の方々が文書を作って取引先の方とやりとりする形をとっていらっしゃいますか?

中山様:締結部門の要望に応じて、一からこちらで文書を作ることもありますが、契約書のひながたを用意していますので、必要に応じてそのひながたを使っていただくようにしています。基本的に、締結部門の担当者の方に窓口になっていただき、締結先との直接的なやりとりをお願いしています。法務部門の主な役割は、契約書の修正案を作る事です。

S:なるほど。契約書の修正案などはどのようにして作成されるのでしょうか?

中山様:私は過去の案件などを参照しながら作ったりしますね。

S:では、中山さんはご自身で過去の情報をストックされていたということでしょうか。

中山様:そうですね、過去検討した契約書で言い回しや表現が役立つなと思った条文や、交渉が難航し複雑な修正を施した条文などは、メモアプリを使って、条文のひながた集として残しています。先方への修正案に対して「こういう趣旨で修正しました」というコメントを加えることもありますが、そういった先方へのコメントも一緒に残したりします。そういった情報を個人的にストックしていました。

S:では法務ご担当者様が個人ごとに過去の条文などのノウハウを貯めていらっしゃった、ということなんですね。

中山様:はい。私はそうでした。あとはサーバーの中に他の担当者が残した情報を参照することもしていましたね。

S:リーガレッジのどこがいいなと感じていただけましたか?

中山様:リーガレッジがいいなと思った点は、先ほどの話にも通じてくるのですが、契約情報のナレッジを共有する機能があるというところと、蓄積された契約書のデータの利活用というところにおいて、機能が他のシステムより充実しているところが非常にいいなと思いました。wordの連携機能や、条文テンプレート機能は他で見かけなかったので、実務担当者目線で考えられた機能が非常に魅力的だなと思いました。

S:ナレッジの共有・活用はリーガレッジの特徴的な機能ですのでその点をご評価いただきありがとうございます。現在ナレッジの共有はどのようにされていますか?

中山様:現時点では、契約書のデータが十分に蓄積されていないので、ナレッジの共有が十分にできているとは言いにくい状況ではあります。在宅勤務が中心の状況ですと、契約書を紙からPDF化する作業が追いつかず思うようにすすんでいませんが、データが蓄積されれば効果が実感できると思います。

S:過去の紙の契約書をリーガレッジに全部移行して使っていこうと思われているということですね。

中山様:そうですね、はい。

S:紙からPDFにする作業は在宅だと難しいかと思います。どのくらい分量があるのでしょうか。

中山様:過去分は数千件あるので、多少時間かかるかなと見込んでいます。

S:業務上、紙を使う機会はこれからもありそうですか?

中山様:そうですね。すぐに完全電子化は難しいと思います。管理体制をしっかり構築できるまでは、紙とデータで併行して管理していく必要があると思います。

4.契約書は紙からデジタルへ緩やかにシフト予定。
  電子契約は運用方法を確立できるかが鍵

S:こういった状況下で電子契約は普及しつつあるのかなと思うのですが、東洋炭素様では電子契約は導入されていますか?もしくは検討されていますか?

中山様:電子契約は未導入ですね。今後、検討していく必要はあると思いますが。児島さんいかがでしょうか。

児島様:ええ、電子契約の導入については、検討は進めているんですが、導入すれば、結局紙媒体の契約書と電子契約との二重管理になるんですね。中途半端に導入してしまうと、結局管理の手間だけが増えて、あまりメリットを享受できないという不安があります。今後電子契約がどこまで広く浸透していくか、契約書に関わる実務の動向について様子を見たいと考えています。

A:御社のご検討状況は理解いたしました。例えば、取引先からの指定で電子署名サービスを利用することも増えてくるのかなと思いますが、そういう機会は以前に比べて増えましたか?

児島様:徐々に増えつつあります。今悩んでいるのは電子署名時の社内手続きの整備や締結後の電子契約書の管理をどうするか、ということなんですね。電子契約では、署名者に直接電子メールが送付され、メール本文に記載されたURL上で締結処理をすれば契約が成立してしまいます。物理的に紙媒体で契約書原本が残らないため、(電子)契約締結がかかるルールと運用をしっかり決めないといけないと考えています。

5.管理台帳入力作業の効率化を実現。
  ひとつの箱に全てが入っていることのメリット

S:リーガレッジの導入後は、実感されている効果はありますか?

中山様:主に定型業務で管理台帳へのデータ入力を簡略化したいという思いがありました。私個人の感想ですが、その部分に関して5割くらいは改善されたかなと。 また、wordアドインや条文検索など、契約書のレビューに活用出来る機能があることが、導入効果として実感しています。

S:wordアドインは、具体的にどこが良いなと思っていただけましたか?

中山様:他社のドラフトを検討中に参考になるなと感じた条文を、Keep機能を使ってすぐに残しておくことができるところですね。先々、個人で契約検討する際に役立つのはもちろんのこと、全員で参考条文を共有できるところも大きなメリットだと感じています。

S:法務担当の方のお話を聞くと、個人ごとにノウハウの蓄積をしているという方が多い印象ですが、それが簡単に共有出来て、誰でも使えるという点もリーガレッジのメリットだとお考えいただけますか?

中山様:そうですね、私も個人的に管理していましたし、全員で共有出来る点は大きいと思います。

S:ありがとうございます。御社では、法務の方だけでリーガレッジをお使いいただいていますか?事業部の方にも展開されているでしょうか。

中山様:現状は法務部だけで運用していますが、部内での運用が確立されたら、他部門にも展開していき、過去締結済みの契約書の閲覧などに使ってもらえたらと考えています。

S:事業部の方から「この時の契約書が見たい」という問い合わせを受けたりはされていますか?

中山様: 問い合わせはありますね。 例えば「○○社との秘密保持契約は締結済ですか?」といった、特定の会社と過去に契約書を締結した実績があるかを確認する問い合わせが多いです。基本的には法務部で契約書の原本管理を行っているので、他部門の方から原本の照会があれば法務部で確認して依頼者に回答するという運用です。

児島様:一時期、社員の皆さんが契約管理台帳を使って契約書を検索できるようにしていた時期もあったのですが、 機密性の高い契約もあるため、情報管理の観点から現在の運用に変更したという経緯です。

A:今までは困難だった情報開示の範囲のコントロールもリーガレッジを利用することで、可能になりそうでしょうか?

中山様:実際運用してみないとわからないですが、可能性は感じています。

S:今のところ法務部門の中でお使いいただいているということなんですけども、御社内でリーガレッジの導入に対する反応や評価はありましたでしょうか?

児島様:現在、全社的に生産性向上の取り組みがプロジェクト形態で動いておりまして、その中で法務部門はリーガレッジ(という契約書管理のサービス)を使うことによって、事務作業の効率化を実現できました、と言えるようにしたいと思っています。今後は、定量的にどれくらい効果が上がったかということを効果測定することを考えています。

S:事務作業ということですと、定型作業のような部分に関しては、簡単に共有ができるようになる、個別に管理しているものを一元管理できるようにする、というところに関しては、私たちがご提供できるところはあるのかなと思います。

児島様:必要な契約書を瞬時に揃えて取り出せるほど契約書管理がしっかりできている会社はそれほど多くはないように思います。本社の法務部から事業部に連絡して、キャビネットに保管している原本から特定の契約書を探して送ってほしいとか、そういったやり取りを結構されているのではないかなと思います。リーガレッジを使うことで、人事は人事で、財務は財務で契約書原本を保管していたとしても、締結に関わるデータは一つの箱(データベース)の中に、入っているわけですから、俯瞰的に把握することに対して非常に手間も省けるのではないかと。そういう場面がそうそうあるわけではないのですが、何かあったときに同じシステムで管理するということの利便性があるのではないかと思います。

S:ありがとうございます。確かに一元管理というか一つの箱に入れて皆で見るという形ができるのは、デジタルならではの所もありますし、この先もお役立ていただければと思っております。

A:導入検討時には他社サービスと比較されていたかと思いますが、リーガレッジに決めた理由は何でしょうか?

中山様:そうですね、機能は確かに似ている部分はあったとは思いますが、wordアドインと条文のテンプレート機能は、御社独自の部分でしたのでそこが決め手になりました。

A: 最後に今後の展望や機能についてのご要望がございましたら、お聞かせください。

中山様:更新アラートの機能強化を期待しています。他の部門からのヒアリングの中で、契約書の更新期日を適切に管理出来たら楽だよねという声は上がっていましたので、アラートの通知の内容の部分は機能強化されると非常に助かるなと思っています。

S:貴重なご意見をありがとうございます。開発チームとも共有して今後の開発に活かしてまいります。インタビューに関してはこちらで終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


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